平成30年度研修医

専攻医
黒鳥 偉作

医療現場は患者さんの回復を目指す場であります。医療者として科学的な思考をもとに治療を行う、という姿勢を決して忘れてはならないと心得ております。

一方、病を担う方々を支え、治療意欲を引き出すためには他者への温かいまなざしが必要です。そのまなざしをもって真摯に向き合うことは、つまり目の前にいる人の存在を肯定することです。この二つの視点を同時にもって患者さんに向き合う姿こそ北海道大学精神科神経科における研修の中核であった、と一年を振り返り確信しております。

「一緒に苦労しますよ」、「やってみましょう」という、重荷を一緒に背負う宣言を大切にし、時間をかけながら一緒に持ちこたえていく。治療関係における信頼を得るために最大限の努力をする。医療の限界をわきまえながらなおも心悩む方々の癒しを信じていく。このような医療の根幹を徹底的に追求するという伝統の息吹を受け、私自身、人格的な成長を実感しております。

社会的要請に従いながら、何をなすべきか常に問いかけられる存在である、ということに無自覚ではいられません。同時に、医療者自身が歩み続けるためには臨床哲学が必要です。「星空のごとく、急がずに、休まずに、めぐれ誰しも、おのが責務のまわりを」という当科の理念を胸に、私は立ち続けようと決意しています。