平成29年度研修医

後期研修医
岩本 圭祐

皆さま、はじめまして。私は初期臨床研修を終えた後、卒後6年目まで市内の総合病院で小児科医として勤務しておりました。もともと児童精神医学に興味があったため、小児科専門医を取得した後、改めて北海道大学精神科神経科で研修をさせていただきました。あまり一般的な道筋ではないかもしれませんが、このホームページをご覧になっている皆さまはおそらく、少なからず精神医学に興味をもたれており、またもしかするとその中には、子どもの精神科にも興味をもたれている方もいらっしゃるかもしれません。そのような方々に少しでも参考になればと、1年間研修をさせて頂いた感想を述べたいと思います。

児童精神科医を志す方々が誰しも直面するのが「小児科か?精神科か?」という命題かと思います。私自身もそうでした。そして答えは未だ分かりません。強いていうならば「両方」であると、これがおそらく真実にもっとも近いのではないかと感じております。私の場合、児童精神科あるいは小児精神科でより専門的な経験を積むという選択肢もあったかもしれません。しかし、敢えて成人も含めた一般精神科の研修をさせて頂くこととしました。一旦子どもの診療から遠ざかることに若干の不安を感じておりましたが、慢性の経過を辿ることが多い精神科医療において、目の前の子どもの将来像をある程度思い描く能力は必要不可欠と考えました。また実際飛び込んでみると、長い病歴を振り返る中で小児期に何らかの”サイン”が潜んでいることも多く、児童精神科医を志す上で非常に重要なことを体感できたように思います。

具体的な研修内容は過去の諸先輩方がすでに詳しく報告されている通りですが、私自身が最も”贅沢だ”と感じたのは、初診外来の陪席でした。医師としての経験年数が増せば増すほど、他の医師の診察を”無責任な立場”で見せていただける機会はそうそうありません。初対面の診察室で、限られた時間内で、新たな医師-患者関係が構築されていく様を目の当たりにすることは毎回感動的ですらありました。私の場合、研修医が例年に比して少なく、陪席の機会が多かったことは非常に幸運でした。また常に研究の息吹を感じ、目前の臨床だけに偏らない環境は非常に刺激的でした。教室の基本理念である、『診療、教育、研究の三位一体』は決して全ての大学病院で実現できているものではないと思います。

既に他科を経験されている先生も含め、新たに精神科医としてスタートを切ろうと考えている方々にとっては非常に恵まれた環境であると思います。一度、見学にいらっしゃることをお勧め致します。