司法精神医学グループ
メンバー(令和6年度)
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研究内容(令和5年度)
令和5年度は前年度と同じメンバーで、三井(精神科神経科病棟医長)と髙信(司法精神医療センター副センター長)、直江(司法精神医療センター医員・大学院生)、賀古(司法精神医療センター長)の4人で構成された。司法精神医療センター(以下、当センター)は開院後2年目となり、退院者も出始め、診療は軌道に乗ってきたと思われる。当センターでの診療実践についても学会や研修会などで徐々に発信し始めているところである。
賀古は、当センターで医師と心理士、管理者の3役の業務に奔走しつつ、医療観察制度や当センターの取り組みに関する講演を道内外で多数行い、医療観察法に関する論文を雑誌精神科治療学や日本精神科病院協会雑誌に寄稿した。また、第42回日本精神科診断学会のシンポジウムにおいて「統合失調症の病名告知」について講演し、第18回医療観察法関連職種研修会においては当センターでの心理教育プログラムについて発表した。当センターの心理教育には大きな反響があり、30以上の施設から要望がありテキストを提供した。また、引き続き重度精神疾患標準的治療法確立事業(通称、医療観察法データベース事業)の運営委員会ワーキンググループメンバー、医療の改善を目的とした特別ワーキンググループのメンバーを担い、さらに医療観察法関連職種研修会幹事会オブザーバー、指定入院医療機関従事者研修会企画・調整担当にも就き、指定入院医療機関の医療の質の向上や均てん化に資する仕事を担っていくこととなった。令和5~6年度の厚生労働科学研究費補助金による医療観察法における退院後支援に資する研究(平林班)の中で分担研究「医療観察法に必要な人材育成に関する研究」を担当することとなり、医療観察法医療に関連する各種機関への全国調査を行った。
髙信は、司法精神医療センターでの診療に従事する傍らで、複数の臨床研究や刑事精神鑑定関連業務を行った。医療観察法指定入院医療機関におけるクロザピンの使用状況に関するアンケート調査を実施し、令和6年中の学会発表および論文化の準備を進めている。また、国立精神神経医療研究センターと共同して医療観察法データベース事業を利活用した医療観察法指定入院医療機関における処方薬についての論文の共同執筆を行っている。刑事精神鑑定については、自身で鑑定業務を行うとともに、日本精神神経学会司法精神医学研修委員を担い、ワークショップ、シンポジウム等の企画を行った。同学会精神保健福祉法委員会にも所属し、調査研究やシンポジウム等の企画を行った。本院で着手していた自殺予防に関する研究も継続しており、入院患者に対し実施した自殺リスクアセスメントシートを用いた自殺リスク評価と入院中の自殺企図発生に関連についての調査の途中経過について、自殺予防学会総会で発表した。
直江は、大学院博士課程2年目として、医療観察法入院中の統合失調症患者における逆境的小児期体験及び発達特性と治療転帰の関連についての研究をテーマに、多施設共同研究を計画している。
グループとして精神鑑定に引き続き力を入れており、賀古は公判鑑定1件、起訴前本鑑定3件、起訴前簡易鑑定5件を行い、三井は令和4年度からの継続の公判鑑定が1件、髙信は起訴前本鑑定1件、起訴前簡易鑑定6件を行った。令和5年12月には法曹三者と精神科医による精神鑑定の研究会(北海道精神鑑定研究会(HFPC; Hokkaido Forensic Psychiatry Conference))を立ち上げた。賀古は日本司法精神医学会認定精神鑑定医を取得し、次年度は北大病院として精神鑑定医養成指定研修施設の認定を目指している。
令和6年度も司法精神医療センターでの臨床実践について発信し続け、厚労科研費研究や直江の学位研究などもしっかりと結果を出していきたいと考えている。
(文責:賀古 勇輝)